評価
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基本情報
人数 | 1~4人 |
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時間 | 30~120分 |
言語依存 | シナリオとカードに大量のテキストあり。日本語版が望ましい。 |
対象年齢 | 14歳以上 |
デザイナー | Isaac Childres |
アートワーク | Alexandr Elichev Josh T. McDowell Alvaro Nebot |
版元 / 販売元 | Cephalofair Games Asmodee アークライト ほか |
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テーマ
「グルームヘイヴン」は、長編もののファンタジーRPGをテーマにした、協力型のボードゲームです。ほかのボードゲームとは違い、連続するキャンペーンシナリオに重点を置いた大作です。
プレイヤーたちはハイファンタジーの世界に登場するキャラクター(傭兵)になり、冒険を重ねながら成長していきます。初めは弱いスキルしかありませんが、レベルアップを重ねることで、強くなっていきます。
また、特定の条件を満たすことで、新たなキャラクターが解放されたりもします。
シナリオを攻略する度に新たな条件が解放され、世界に変容が起こるのも「グルームヘイヴン」の特徴です。どんな世界になっていくかは、プレイヤーたちの選択によって変わります。
シナリオは全部で95本もあり、1つのシナリオで2~3時間を楽しめるため、年単位で遊べるボードゲームです。
ルールの概要
「グルームヘイヴン」では、それぞれのプレイヤーがキャラクターを1人担当します。成長要素のあるボードゲームなので、基本的には、初めに選んだキャラクターを繰り返し使って遊んでいきます。
上記の写真は、初期に選択できる「アイノックスのプルート」というキャラクターのセット内容です。このほかに【ダンジョン】で使用するフィギュアがあります(ペイントはされていません)。
また、セットのなかにはTRPGのようにキャラクターシートが入っています。プレイ環境によっては、複数のパーティで1つの世界を共有する遊び方もできます。
シナリオブックを読み上げて進行する
「グルームヘイヴン」には、ルールブックとは別に、分厚いシナリオブックが付属しています。まず初めに、プレイするシナリオを決定します。
シナリオブックには、物語の導入部分や、ダンジョンボードの組み合わせ方、敵の配置、特定の場所にキャラクターが到着すると読み上げるテキストなどが書かれています。
街・野外・ダンジョン
各シナリオは、おおまかに【街】【野外】【ダンジョン】の3つのステップに分かれています。
シナリオのメインステージは3つ目の【ダンジョン】ですが、【街】と【野外】でもちょっとしたイベントが起こります。
どちらも A or B という選択肢をプレイヤーたちに求めるイベントで、しかもカードによってランダムに発生するので、物語を味付けする良いスパイスになっています。
(ミニイベント的ですが、私はこの部分がかなり好きです。ダンジョンに入る前に【呪い】をかけられたりもしました(笑))
また【街】では、アイテムや装備品を購入したり、経験値を消費してレベルアップしたり、教会に寄付して【祝福】を受けたりできます。
ダンジョンではフィギュアを使う
シナリオのメインステージである【ダンジョン】では、フィギュアを使います。
ダンジョンボードには6角形のマス目が描かれており、移動や、攻撃の際の【射程】の判定に使います。
ダンジョンのなかには敵が潜んでおり、基本的には、せん滅しながら進んでいきます。
アクションにはカードを使う
【ダンジョン】内のアクションには、事前に用意している手札を使います。
デッキ構築ゲームのような「山札」という概念はありません。ゲーム開始時には、すべてのカードを手札にします。
ただし、所有できるカードの枚数は、キャラクターによって決まっています。どのカードを取得していくかが、キャラクターの個性になります。
毎ラウンド、それぞれのプレイヤーは、手札のなかから2枚を選び、裏向きに伏せます。
すべてのプレイヤーが上記の写真のように手札を出すわけですが、カード選択の際には、ほかのプレイヤーに具体的な内容を伝えてはいけません。
「グルームヘイヴン」は協力ゲームなので、ザックリとした相談は認められますが、カードに書かれている内容を読み上げたりはできません。設定上は「傭兵」なので互いを完全には信頼していない、ということになっています(笑)
全員が裏返しに出したら、いっせいに表向きにします。
カードには、上下の2つのアクションボックスと、行動順を表す中央の数字があります。
重ねた2枚のうち、下にあったカードの、行動順の数字に従って、ラウンド中の手番が決まります。低い数字のプレイヤーから順番に行動します。
敵が行動するタイミングについては、ランダムに引かれるモンスター用のカードによって決まります。
ほかのプレイヤーに具体的な相談ができないうえに、敵の行動にもランダム性があるので、なかなか思惑通りの展開にはなりません!(笑)
また、カードのボックス(テキスト)は、大きく分けて、攻撃に対応する上段と、移動に対応する下段があります。手番では「1枚のカードの上段+もう1枚の下段」を実行できます。
この際、重ねていた順番は無視できます。攻撃して移動しても良いですし、移動して攻撃することも可能です。(ただし、連続で上段ボックスを選んだりはできないので、カードの選択が重要です)
攻撃する場合は、敵にどのくらいのダメージを与えられるかを判定します。基本的には【攻撃力 - 装甲】の値ですが、加えて、ダメージ補正を決定するカードを引きます。
めくられたカードによって、プラス or マイナス 補正がかかります。場合によっては、クリティカルヒットしたり、完全に失敗(ファンブル)することもあります。
カードはどんどん減っていく…
限られた手札を使って【ダンジョン】を切り抜けていくシステムが、「グルームヘイヴン」にユーロゲーム的な面白さをつくっています。
当たり前ですが、使用したカードは捨て札になるからです。ラウンドのたびにカードを2枚使うので、だんだんと手札の選択肢は減っていきます!
「コレとコレを実行したいけど、行動順が遅すぎる…」「このラウンドでこのカードを使うと、敵を倒せなかった場合に対応できない!」などのジレンマがあります。
また、捨て札は【小休憩】or【大休憩】というアクションを実行することですべて回収できます。
詳細は割愛しますが、どちらの休憩を選んだ場合でも、回収するカードのうち必ず1枚が【喪失】という別の捨て札に移されます。【喪失】されたカードは、シナリオ中には手札に戻ってきません!
分かりやすくするために、具体的な話をします。
例えば、レベル1の「プルート」のシナリオ開始時の手札は10枚です。最大5ラウンド行動した(2枚×5ラウンド=10枚)ら、必ず休憩を取って捨て札を回収する必要があります。休憩の際の【喪失】の結果、手札枚数は9枚になり、次は最大4ラウンドしか連続でアクションできません…!
このように「手札」「捨て札」「喪失」を移動するカードを上手くマネジメントしていくことが求められます。
ジリジリとした緊張感のなかで、仲間と連携を取り合い、【ダンジョン】を攻略していきましょう!(シナリオ1でも、難易度はかなり高いです(笑))
Twitterのプレイ投稿
Twitterのプレイ投稿をご紹介します。パーティ編成やキャラクターの成長などの要素があるので、いわゆるTRPG(テーブルトークRPG)が好きな人にも向いているようです。
また、なかにはフィギュアをペイントしている人もいます。着色済みだと、遊ぶ際の臨場感も格段に上がりそうですね!
本日、知人で集まり年始のゲーム会でグルームヘイブンを初プレイ。
— 巡礼者|N.O.Products (@Pilgrim_N_O_P) 2020年1月5日
選んだキャラクターが神官戦士寄りの構成で、スキルをあれこれ考えながら最初のシナリオに挑戦。最終戦ギリギリながら、無事生還することができました。 pic.twitter.com/HVx2cPGKZ0
年越しも夫婦でグルームヘイヴンをやっています💀使用キャラのブルートがレベル2に上がり強力な新スキルを取得したおかげで無事クリア✨装備品も充実させ防御力が大きく向上しました👕楽しい年末! pic.twitter.com/EvckOUrvNd
— 小三@ボド充 (@syougakusannen) 2019年12月31日
グルームヘイブン初プレイ!
— ウサギク@ボドゲを広め隊 (@usagiku49) 2020年1月4日
2シナリオ分プレイしました!
楽しかったわーTRPGの戦闘部分をより面白くしたプレイ感 pic.twitter.com/kLIJjoGGAS
感想
まだやり込めていないのに「感想」というのもおこがましいですが、やはり星5と評価せざるを得ません!
「フィギュアゲームだから大味なんじゃないの?」という心配は杞憂で、確実に「ボードゲームの楽しさ」があります。そのうえ「物語の面白さ」「キャラクターが成長していく充足感」が加わります。
さすが、さまざまな賞を受賞し、BGG(Board Game Geek)でトップに君臨するゲームです。
また、日本の家庭環境にそぐわない箱の大きさを見て「どこで、どうやって遊ぶの!」と思っていましたが、実際に遊んでみると、1つのシナリオで使うボードやトークン類はそれほど多くなかったのもプラス評価です。
一般的な大箱のボードゲームで使用するテーブルがあれば十分だったので、ボードゲームカフェや友人宅で遊ぶ場合は、必要なコンポーネントだけをほかの入れ物に移して運ぶと良さそうです。
(「箱の大きさ」がすでに1種のエンターテイメントなので、最初はどうしても見せびらかしたいですが(笑))
購入できるお店は?
「グルームヘイヴン 完全日本語版」は、Amazon、または、駿河屋で購入できます。
間違いやすいルール
「グルームヘイヴン」はとても楽しいゲームですが、ルール量が多いため、プレイミスをしやすいという欠点があります。
以下に、私が実際に遊んでみて、間違いやすいルールだと感じたものをまとめました。初めて遊ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
- キャラクターの使用カードはレベルに依存する。レベル1の場合は「1」と「X」のカードしか選択できない。
- プレイするカードの内容を具体的にほかのプレイヤーに伝えてはいけない。「かなり早めに動いて敵①を攻撃する」「遅く動くから火マナを活性化してほしい」などの伝達はOK。
- 手札1枚 or 捨て札2枚 を【喪失】することで被ダメージをキャンセルできる。ただし、毒や気絶などのダメージ以外の効果はキャンセルされない。
- 【標的X】は、別々の相手をターゲットにする。例えば【標的2】で同じ相手を2回攻撃できない。また、攻撃のたびにダメージ補正カードを引く。範囲攻撃の場合でも、対象ごとにダメージ補正カードを引く。
- ダンジョンタイルの境目は壁になっているため通り抜けできない。また、射線をふさぐ。通過できるのはドアのマスだけ。
- 敵の配置はドアが開けられたタイミングでする。その際、行動順を決定するカードをめくり、可能ならば行動する。
- 1体も敵が配置されていない状態だと【召喚獣】は目標を持たないため移動しない。
- 【障害物】は移動を妨げるが、射線はふさがない。
- 【大休憩】は捨て札から1枚を選んで喪失。【小休憩】は捨て札からランダムに1枚を喪失。【小休憩】で選ばれた1枚は、ダメージ1点を受けることで別のカード(ランダム)に変更できる。変更できるのは1回だけ。
- 【大休憩】は99番目のアクション。捨て札回収に加えて、2点回復する。一方、【小休憩】はフリーアクションなので、ラウンド終了時に実行できる。
- キャラクターの上限を超える回復はできない。
- 【反撃】は【装甲】で軽減できない。
- 【反撃】にも【射程】がある。とくに記載がない場合は、隣接している相手にのみ反撃できる。
- 【反撃】前に死亡した キャラクター/敵 は【反撃】できない。
- 1度の【元素注入】で、ゲージは【強】まで上がる。
- 【罠】のダメージは【シナリオレベル+2点】。例えばシナリオレベル1なら【3点】。ルールブックの早見表は計算後の数値。
- 敵に【略取】された金貨はゲームから消える。再ドロップしない。
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範囲攻撃でも敵一体一体に修正カード使うと思っていました…
ちなみに何処に一枚のカードを適用すると書いてありましたか?
失礼しました!私のほうでルールミスをしていたようです。問題の箇所を修正しました。
日本語版のルールが手元にないため原文をあたってみたところ、21ページ目の「AREA EFFECTS」の項に「… Also note that each target constitutes a separate attack (drawing its own attack modifier card), but all attacks together make up a single attack action.(… また、各ターゲットは個別の攻撃(独自の攻撃修正カードを引く)を構成しますが、すべての攻撃が1つの攻撃アクションを構成することに注意してください。)」と記載がありました。
範囲攻撃でも個別にカードを引くようです。(すべての攻撃が1つのアクション、というのを誤認識していたようです…)
誤った情報を載せてしまい、申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます!