評価
★ ★ ★ ★ ☆
基本情報
人数 | 3~4人 |
---|---|
時間 | 60~90分 |
対象年齢 | 12歳以上 |
言語依存 | なし |
デザイナー | Dominique Ehrhard |
アートワーク | Arnaud Demaegd |
版元 / 販売元 | Ystari Games |
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テーマ
シラ(SYLLA)は共和制ローマの時代をテーマにしたボードゲームです。
紀元前79年、後に「孤高の主人」と呼ばれるようになるシラが、統治の座から退こうとしています。カエサルより少し前の時代です。
プレイヤーたちはローマ元老院の有力者になって、政略的に立ち振る舞い、シラの後を継ごうと画策します。
平民たちにはパンが必要です。それどころか、より多くの支持を得るためには、市民の公民意識、健康、娯楽までマネジメントする必要があります。
東方で興りつつある不思議な宗教「キリスト教」がローマに到達するとゲームは終了です。それまでに、より多くの支持を集めましょう。
※「シラ」はフランス語読みで、日本では「ルキウス・コルネリウス・スッラ」と呼ばれている人物です。
ゲームのルール
今回は私自身のルール把握が目的でもあるので、かなり詳しくルールを書いています。インストマニュアルも兼ねている記事です。また、ルールブックの記載が分かりづらかったので、用語を少し変えています。
シラ(SYLLA)は、カードのプレイングによってローマの情勢をコントロールするゲームです。
ゲームを通じて、プレイヤーは公民意識(紫)・健康(青)・娯楽(緑)のチップを集めていきます。
メインボードにはそれぞれのチップの価値が何点なのかを表すマスがあり、終了時の位置によって得点が変わります。
また、下記の「教会」カードにもゲーム終了時の得点が描かれています。「教会」カードはボードの脇によけて、全員が見えるように配置されます。
魚のマーク(キリスト教徒を表しています)1つにつき2点、奴隷1人ごとに2貨幣を支払うことで3点を得ます(奴隷の開放を意味しています)。
ゲームは全5ラウンドに渡っておこなわれます。各ラウンドは7つのフェイズで進行します
- 第1フェイズ:執政官の決定
- 第2フェイズ:雇用
- 第3フェイズ:建築
- 第4フェイズ:収入
- 第5フェイズ:イベントの解決
- 第6フェイズ:事業
- 第7フェイズ:飢饉と暴動
以下でゲームの準備を簡単に説明し、各フェイズを解説します。
ゲームの準備
ゲーム開始時に、それぞれのプレイヤーは4つの初期カード決定タイルのなかから1つを選びます。
タイルにはⅠ~Ⅳの数字が描かれていて、あらかじめ対応した初期デッキがあります。以下は、初期デッキセットの例です。
左上から、巫女・議員・兵士・商人・奴隷の5種類で、2枚ずつあります。
初期タイルのどれを選んでもカードの内訳は変わりませんが、アイコンが少しずつ違います。
プレイヤーは、受け取ったデッキセットのなかから4枚を選び、自分の初期カードにします。残りのカードは一か所に集め、共通の山札となります。
初期資金は「3+手元の商人カードの数」のドニエです。(初期タイルの裏面に描かれている貨幣が、収入のベースを表しています)
①執政官の決定
第1フェイズでは、まず、このラウンドの執政官プレイヤーを決定します。
前のラウンドの執政官プレイヤーから順番に「何票で立候補するか」を宣言していきます。(1ラウンド目の場合は前の執政官がいないので、Ⅰのタイルを引いた人から始めます)
より多くの数値を宣言した人がラウンドの執政官になります。一見すると競りのようですが、立候補のチャンスは1度だけです。2周目の宣言はありません。
投票で宣言できる数字は「自分の場にいる議員の数」+「支払うドニエ(貨幣)」で決めます。
つまり、議員はいるだけで1投票権になります。議員がたくさんいると執政官になりやすいですが、お金を積むことでもくつがえせます。
執政官になったプレイヤーは、必要なドニエを支払い、以下の行動を取ってください。
- 3種類のチップから1つ選んで受け取る(ノーコスト)
- ボードに並んでいるイベントカードに描かれている飢饉マークの数だけ飢饉マーカーを右に動かす
②雇用
第2フェイズは雇用です。
執政官プレイヤーから順番に、ボード左側に並んでいる6枚の人物カードから1枚を獲得します。コストは不要で、好きなカードをもらえます。
プレイヤーが1枚ずつ雇用を終えたら、盤上の残り2枚は山札の底に戻します。捨て札スペースはありません。
③建築
第3フェイズは建築です。メインボードの下部に置かれてあるタイルが競りにかけられます。
最初にどのタイルが対象になるのかは、執政官プレイヤーが決めます。
建築では、執政官の隣のプレイヤーから「建築に出すコストの値」を宣言していきます。建築フェイズの競りでも、数字を宣言orパスするのは1度だけで、2周目はありません。
このため、執政官は一番最後に数値を宣言できます。
建築で支払うコストは、手元のカードで支払いますが、使えるものはタイルの置かれている位置によって変わります。
例えば、上記の画像の畑タイルが対象になっている場合は、自分の持っているカードの黄色の六角形のアイコンだけ使用できます。
コストの支払いに使ったカードは上の画像のように横向きにします。(もちろん、宣言したものの競りに負けた場合は縦向きのままです)
横倒しになったカードは、以降のフェイズでは能力を失います。
次に競りにかけるタイルは、落札者が決めます。新しい競りは、落札した人の隣からスタートします。
各ラウンドで競りにかけられる建物タイルは5枚までです。残った1枚はゲームから取り除かれます。
各プレイヤーのカードは公開情報なので「だれがどれだけの資源を支払えるのか」は全員に分かりますが「どこまでカードを使用するのか」が読み合いのポイントになります。
④収入
第4フェイズは収入です。
基本の収入は3ドニエで、横向きになっていない商人カード、所有しているタイルによって増加します。
⑤イベントの解決
第5フェイズは、メインボード右側に並んでいるイベントカードを解決します。
各プレイヤーは、まず、横向きになっていない「巫女」と「兵士」のカードの上に自分の色のキューブを1つずつ置きます。このキューブは、イベントを制御するのに使用します。
その後、執政官プレイヤーから順番に、巫女or兵士のキューブを1つ、どれかのイベントカードに移動します。
イベントカードの左側には、巫女or兵士の顔が描かれていて、動かせるキューブが制限されているので、注意が必要です。
すべてのキューブが置かれたら、各イベントカード上のマジョリティを判定します。(キューブは次のラウンドに持ち越せません)
もっとも多くのキューブを置いている人はカード左上に描かれているチップor得点を得ます。最多数が複数いる場合は、それぞれが報酬を得ます。
イベントの固有能力の解決
マジョリティの処理が終わると、各イベントカードの固有能力を解決します。
イベントの能力はカード下にアイコンで示されていますが、初めて遊ぶ場合はルールブックを参照したほうが良いです。
多くは「ボード上のチップの位置が移動する」か「特定の人物カードが無効化される」などで、プレイヤーにとって良くないものです。
ただし、まずは4枚のイベントカードのなかで、キューブの数が多い2枚が「抑制」されます。「抑制」されたカードは、固有能力を発動しません。
さらに、抑制された2枚のうち、よりキューブの数が多かった1枚がゲームから取り除かれます。
つまり、起ってほしくないイベントにたくさんキューブを置けば、被害を免れるかもしれません。
ただし、ボード1番下のカードはゲームを通じて固定されているため、取り除かれません。
(2枚のキューブの数が同数の場合は執政官プレイヤーが排除するカードを決めます)
フェイズ終了時に、排除されたスペースに新たなイベントカードを補充し、すべてのキューブを取り除きます。
⑥事業
第6フェイズでは、ローマの偉大な事業に賛成するか、反対するかを全員で投票します。
各プレイヤーの投票は「横を向いてない議員カード+掌に握ったドニエの数」で決まります。いわゆる「握り競り」で、順番はなく、一斉に投票します。
事業に賛成なら親指を立て、反対なら下に向けます。
画像の事業は「テルマエ(公衆浴場)」です。最も投票数の多い人が5勝利点、次に多い人は3勝利点を得ます(賛成・反対のどちらに入れていても構いません)。
また、合計の賛成票が5票あるごとに健康チップ(青)が右スペースに移動します。
反対した人は「自分の反対2票ごとに1勝利点」を得ます。ローマの事業は市民に大きな負担を与えるので、元老院に反対する姿勢を示すことで、民衆の信頼を得るからです。
解決した事業カードはボード上部に並べられ、経過ラウンド数をカウントするのに使われます。
⑦飢饉と暴動
第7フェイズでは、メインボード上のチップの位置を確認して、ローマ市民の「飢饉」と「暴動」をチェックします。
「飢饉」は黄色のチップで管理されています。ゲーム開始時には0ですが、だんだんと数値が上がっていきます(減ることはありません)。
各プレイヤーは飢饉チップの置かれている数値の分だけ勝利点を失います。ただし、所有している畑タイルを1枚ごとに2減点分、免れます。
「暴動」は、公民意識(紫)・健康(青)・娯楽(緑)のチップが左端スペースにないかでチェックします。
「暴動」の起きたチップをもっとも持っているプレイヤーは3勝利点を獲得し、反対に、少ない人は3勝利点を失います。
次のラウンドの準備
第7フェイズが終われば、次のラウンドの準備をします。
- 「雇用」で雇う人物カード6枚の補充
- 「建築」で建てる建物タイル6枚の補充
- 横向きになっているカードを直立させる
5ラウンドが終わった場合は「3種類のチップ」「魚マーク」「奴隷+2ドニエ」を勝利点に変えます。同点の場合は引き分けで、お互いの勝利です。
基本的には4人用?
シラ(SYLLA)は、基本的に4人向けのボードゲームという感じがします。
3人で遊べる調整ルールも備えてありますが、ちょっと雑な印象です。そもそもシステムの根幹が「複数回にわたる競り」なので、人数は多いほうが良いと思います。
Twitterのプレイ投稿
Twitterのプレイ投稿をご紹介します。シラ(SYLLA)はあまり遊ばれていないゲームなのか、プレイ投稿は少なかったですね。
「ケイラス」や「蟻の国」で有名なイスタリ社の大箱ですが、たしかにボードゲームカフェなどで見かけることは少ないです。
【ボードゲーム】シラ!これもなかなか奥深い良いゲームでした♪そして連勝!!負けたゲーム撮って無かっただけ(笑) pic.twitter.com/wWgpZIG9ty
— けーどん@まぁぶる (@nishizaki21) 2018年5月31日
SYLLA終局しました#ボードゲーム pic.twitter.com/FR6nQpfGOA
— 犬郷おじさん (@ojisangamer) 2016年5月14日
#NowPlaying Sylla - first play of this entertaining Roman era board game. A mere £2.50 at The Works. pic.twitter.com/fI5tgnKNKt
— Timothy Young (@TIM_RTC) 2016年1月17日
感想
4人で遊びました。全員初プレイ。
「オークション系システム全部乗せ!」という感じのゲームです。ひとことに「競り」といってもいろんなバリエーションがあって、それぞれで緩急が違うのが面白いです。
1ラウンドがちょっと長いかな? という印象はありますが、競りゲームのなかでは頭一つ抜けている作品ですね。
個人的には、ボードゲームのデザインをやっている人にオススメしたいです。いろんな種が詰まっています。
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