評価
★ ★ ★ ★ ★
基本情報
人数 | 1~2人 (2セット使用で4人まで可) |
---|---|
時間 | 30~90分 |
言語依存 | テキスト多め。日本語化推奨。 |
対象年齢 | 14歳以上 |
デザイナー | Nate French |
アートワーク | Even Mehl Amundsen Erfian Asafat ほか |
版元 / 販売元 | Fantasy Flight Games ほか |
BGGのページはこちら |
テーマ
さまよう者すべてが、道を失っているわけではない。
J. R. R. Tolkien 『指輪物語』より
指輪物語LCG(The Lord of the Rings: The Card Game)とは、J. R. R. Tolkien の傑作ファンタジー『指輪物語』をテーマにした、協力型のカードゲームです。
フロドやアラゴルン、ガンダルフなどのおなじみのキャラクターはもちろんのこと、映画では描かれなかった設定もふんだんに盛り込まれています。
ただ、プレイヤーたちは、原作で描かれた物語をたどるのではありません。同じ時代に「中つ国」で起こった、ほかの危機を体験していきます。
J. R. R. Tolkien の描いたさまざまな場所や敵に立ち向かい、英雄たちの命が尽きないように協力しながら、使命を果たすのです!
LCG( Living Card Game )とは
LCG( Living Card Game )とは、TCG( Trading Card Game )に対する概念として、Fantasy Flight Games 社が提唱したカードゲームの形式です。
『マジック:ザ・ギャザリング』や『遊戯王』に代表されるTCG( Trading Card Game )は、パッケージに封入されているカードがランダムになっています。このため、カードパックを複数購入したり、友人や知人とトレードしたりして、必要なカードを集めるコレクション要素が強いです。
一方で、LCG( Living Card Game )は、1つのパッケージに入っているカードが固定されています。基本的には、製品を1つ買えばゲームに使用するものはすべて揃うので、不必要に出費が重なるリスクがありません。
※『指輪物語LCG』のほかに『アンドロイド:ネットランナー』や『ブルームーン:レジェンド』などのゲームがあります。
デッキ構築型カードゲームとの違いは?
『ドミニオン』に代表されるデッキ構築型のカードゲームとの違いは、ゲームを始める前に「各自がデッキを組む」というステップがあることです。
「どのカードをデッキに加えるか?」によって、ゲーム中の戦略が変わります。
ちなみに『指輪物語LCG』には、事前に構築された初心者用のデッキが4つ準備されています。初めて遊ぶ際には構築済みのデッキを使い、ルールに慣れたら、カードを入れ替えて、新しい戦略に挑戦すると良いでしょう。
拡張セットとは?
『指輪物語LCG』には、なんと100以上もの拡張セットが販売されています。(日本語版は1つもないですが…)
『指輪物語LCG』は、ゲームごとにシナリオをセットして遊ぶ形式を取っています。このため、拡張セットを購入すると、遊べるシナリオの種類が増えます。
ちなみに、基本セットには「闇の森を抜けて」「アンドゥインを下る」「ドル・グルドゥアからの脱出」という3つのシナリオを遊ぶためのカードが入っています。
ルールの概要
『指輪物語LCG』では、ゲームに参加しているプレイヤー全員で協力して、シナリオごとに用意されている【使命】を果たすことを目指します。
基本的には「プレイヤーたちのデッキ」VS.「闇の勢力のNPCデッキ」のせめぎ合いです。
プレイヤー側は、英雄・味方・武器・イベントなどのカードを使って、戦力を整え、クリアを目指していきます。
しかし、NPC側からランダムに出現する、敵・場所・危険・目的などのカードが、行く手を阻みます。
NPC陣営のカードが増えれば増えるほど、闇の勢力は力を増したことになり、プレイヤーは危機に陥ります。
しかし、出てくる敵に漫然と対処していただけでは【使命】は進行せず、ジリジリと敗北してしまいます…!
ちなみに、ルールとカードの日本語訳は、奇跡家分館というサイトで公開されています。フレーバーテキストまで翻訳されており、ゲームの雰囲気を損なう恐れもないので、私も使わせていただいています。
また、ある程度の英語リスニングができる人は Fantasy Flight Games 社が公開している、以下のYouTube動画を見ても雰囲気を掴めると思います。(注:音が出ます)
英雄を3人まで連れていける
指輪物語LCGは、ゲームで使用する英雄カード1~3枚を、プレイヤーがそれぞれ選び、それに合ったデッキを用意するところから始まります。
選んだ英雄はゲーム開始時から場に出ています。(例えば、2人プレイで、どちらも3枚の英雄を選んだ場合は、計6枚が出ています)
この英雄たちを軸に、シナリオごとの【使命】をクリアしていくのが、ゲームの目的です。
英雄は、攻撃を受けて体力が0になると死亡します。自分の英雄が全員死亡すると、プレイヤーはゲームから脱落してしまいます。
また【脅威レベル】という要素もあります。
ゲーム中に、プレイヤーの【脅威レベル】が50を超えた場合も、ゲームから脱落してしまいます。
英雄カードにはそれぞれコストが設定されており、ゲーム開始時の【脅威レベル】は、英雄カードのコストの合計で決まります。
英雄をたくさん連れて行けば全滅を免れやすくなりますが、一方で、脅威に飲み込まれるリスクは上がります。
ラウンド開始時に英雄はリソースを獲得する
連れて行った英雄は、ラウンドの開始時にリソーストークンを獲得します。
英雄は、それぞれ「指揮」「戦術」「精神」「知恵」のいずれかの属性を持っており、ラウンド開始時に得られるリソースも同一の属性になります。
つまり、同じ属性の英雄を3人連れて行った場合は同じリソースが3つ手に入りますが、「指揮」「戦術」「精神」のように別々の属性で英雄を選んでいる場合は、得られるリソースの種類も分散されます。
獲得したリソースは、主に、手札からカードをプレイする際に使います。
ただし、プレイしたいカードの持つ属性と、消費するリソースの種類が一致する必要があります。(このため、複数の属性を掛け合わせたデッキは、かなりテクニカルになります)
ちなみに、ゲーム開始時の手札枚数は6枚で、ラウンド開始時に1枚だけ山札から引けます。
ドミニオンやサンダーストーンのようにクリンナップされることはないため、1枚1枚の重要性がかなり高いです。
英雄や味方を使命に挑ませる
ラウンドごとに、プレイヤーは【使命】に挑ませる英雄や味方を選びます。選ばれたカードは、横向きにして「疲労状態」であることを示します(このラウンド中はほかの行動ができなくなります)
挑んだキャラクターたちで【使命】を進行させられるかどうかは、カードが持っている【意志力】によって変わります。
プレイヤーが選んだカードの【意志力】の合計が、NPC陣営の場に出ているカードの【脅威値】を上回っていた場合は【使命】のカードに進行トークンを置けます。
ただし、もしも【意志力】よりも、敵の【脅威値】のほうが高かった場合は、プレイヤーは差分だけ、自分の【脅威レベル】を上昇させます。(脅威レベル50で脱落です)
進行トークンが【使命】ごとの必要ポイントを上回れば、そのカードは達成済みとなり、次の舞台が現れます。1つのシナリオで使う【使命】のカードは3~4枚です。すべてを踏破できれば、プレイヤーの勝利です。
これだけ書くと、単純な引き算なので、強いカードを選んで【使命】に突っ込ませればいいように見えてしまいますが、実際はもっとシビアです。
なぜなら、
- 【使命】に参加するキャラクターを選ぶ
- 敵陣営のカードをプレイヤー人数に応じて追加する
という手順になっているため、実際には、敵の【脅威値】を予測できないからです。
しかも【使命】に参加したキャラクターは無防備になり、攻撃や防御ができなくなります。
敵陣営からの攻撃に対処しなくてはならない
ゲームを進めていくと、巨大グモやオーク、トロールなどのさまざまなモンスターに遭遇します。ランダム遭遇の場合もあれば【使命】のカードによって固定イベントになっているものもあります。
敵は、それぞれ【脅威値】を持っていて、プレイヤーたちの【使命】を邪魔するだけでなく、英雄たちを殺そうと襲ってきます。攻撃を受け続け、体力が0になった英雄は死亡してしまいます。(ゲームから取り除かれます)
基本的に、敵からの攻撃は「活動状態」のキャラクターを「疲労状態」にすることで、防御できます。防御できない場合は、敵の【攻撃力】と同じダメージを英雄1人が受けます。
ちなみに、上記の画像の王蜘蛛の【攻撃力】は3です。英雄の1人フロドの体力は2なので、一撃で死亡します…。
しかも、攻撃の際に、敵は、サウロンの恩恵である【影効果】を備えている場合があります。これにより、どれだけの損害になるのか予測が難しくなっています。(【影効果】は、山札の1番上のカードによって付与されるランダム効果です)
Twitterのプレイ投稿
Twitterのプレイ投稿をご紹介します。日本語版が発売されていないのでツイート数こそ少ないですが、熱心なファンは多そうです。
・The Lord of the Rings: The Card Game
— カクア@ソロオンリー (@solo_board) September 28, 2019
海外のソロゲ話だとたいてい出て来る優良ゲームだけあり、非常に面白い。面白すぎて120本くらい拡張パックが出てるので、ドツボにはまりそう…… pic.twitter.com/S5zKzAu47U
指輪物語のLCG。 新しいデッキを組みたくなったので、解体する前に記念撮影。 しかし、FFG社のイラストは美麗だ。 pic.twitter.com/o8avzVe8P2
— ナンテコッタイ (@nyantekottai) June 16, 2016
指輪物語LCG初級シナリオで最も出てきて欲しくないカードのひとつ「Hummerhorn」接触だれると英雄に5ダメージ。基本セットにこれに耐えられるキャラは皆無。原作ではなくどうも「トールキン小品集」収録の詩に出てくる虫らしいです。 pic.twitter.com/1B2fLGatJW
— 常広浩貴 (@Hirotman) October 27, 2013
感想
ランダム性が強いですが、それでも満足度の高いゲームです。私自身がファンタジー好きというのもあるでしょうけど、遊ぶたびに物語が描かれていく感じがあって、良いです。
『指輪物語LCG』
— イカ (@IK_squid) February 15, 2020
シナリオ1「闇の森を抜けて」
冒頭でドワーフの英雄グローインが重症を負う。が、道中は危なげなく進む。オークとの遭遇は少ない。ファラミアと出会う。
最後の最後に、人間並みのサイズの巨大なハチ「ハマーホーン」に感づかれるも、颯爽と現れたガンダルフが一撃で屠って、終幕。 pic.twitter.com/n4Ps1OSeTQ
ただ、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の物語を再現する、というのには向いていません。
原作どころか「中つ国」を描いたトールキンのほかの作品まで合わせて題材にしているので、「知らねー!」っていうカードであふれています(笑)
ゲームの難易度としては、かなりマゾいです。
プレイヤー側は、使命・防御・攻撃のすべてに対処しなくてはならないので、わりと敵陣営に圧倒されて、敗北します。そのぶん、リベンジを楽しめる人に向いています。
細かいルールがいくつかあるので、記事ではかなり省いて紹介しています。詳しいルールが知りたい人は、記事内で紹介した「奇跡家分館」の日本語ルールを参考にしてください。
※ちなみに、記事内で使用している写真に使っているプレイボードは、ほかのゲームから流用したものです。『指輪物語LCG』のセットには含まれていません。
駿河屋で購入する
ゲーム・古本・DVD・CD・トレカ・ボードゲームなどのサブカルやホビーを専門に扱っている通販サイトの駿河屋なら、定価よりも安くアナログゲームを買えること多いです。
「指輪物語LCG」 の商品ページはこちら
駿河屋通販では、いまでは絶版になっていて購入できない中古品や、海外から直輸入された新作も扱っています。ボードゲームに興味がある人は、一度覗いてみると良いでしょう。
コメントする